パソコンの電源が入らない?見逃せない3つの原因と確認方法

突然パソコンが起動しなくなると、多くの人はすぐに「電源ユニット(PSU)の故障では?」と考えがちです。しかし実際には、もっと単純な原因から複雑な内部トラブルまでさまざまな要因が考えられます。本記事では、電源が入らないときに自分で確認できるポイントや、修理が必要かどうかの判断基準、費用の目安、日本国内での注意点などをわかりやすく解説します。

まずは「故障」だと決めつけない

以下のような初歩的な見落としで電源が入らないケースは多く、全体の3割近くを占めます。

  • 電源タップのスイッチが切れている
  • 電源ユニット背面のスイッチがOFFになっている
  • モニターの電源と勘違いしている
  • 落雷や瞬間的な停電後で電流遮断が発生している

まずは電源供給まわりを一通りチェックしましょう。

電源ユニットが原因の可能性が高い症状とは?

以下のような症状が見られる場合、電源ユニットの不具合が強く疑われます:

  • 最近パソコンが何度も突然シャットダウンしていた
  • マザーボードや電源ケーブルが正常に接続されていても反応がまったくない
  • 電源ボタンを押してもファンが一度も回らない

このような場合は、電源ユニットのテストまたは交換が必要です。

マザーボードとの違いはどう見分ける?

原因が電源かマザーボードか判断に迷ったときは、以下の表が参考になります:

症状電源ユニットの故障マザーボードの故障
一切の反応がない可能性が高い可能性は低い
ファンが一瞬回って止まるまれよくある
ビープ音が鳴る鳴らない鳴る(スピーカー搭載時)
電源交換で動作復帰はいいいえ

あくまで傾向ですが、複数項目が一致すれば判断材料になります。

自分でできる3つの基本チェック

  1. ペーパークリップテスト(自己責任で実施)
    • 24ピンコネクタの緑線と黒線をクリップでショートさせる。ファンが回れば電源は通電可能。
  2. 最小構成での起動テスト
    • 電源、マザーボード、CPUのみ接続して電源を入れ、ファンやLEDの反応を見る。
  3. 他の電源ユニットで代用してみる
    • 同等以上のワット数の正常な電源で置き換えて試す。

これらの手順で約70%以上のケースは自己診断が可能です。

事例:ファンは回るが画面が映らない

東京都内のあるユーザーは、ファンが回っているにもかかわらず、画面に何も表示されないと相談してきました。調査の結果、メモリが正しく装着されていなかったことが判明。挿し直しただけで起動が可能になりました。このように、「電源が入らない」という表現には複数のパターンがあることに注意が必要です。

修理に出す前に確認すべき5項目

  • 電源タップやコンセントの通電状態
  • 24ピン・8ピン電源ケーブルの接続確認
  • ペーパークリップテストの実施
  • メモリ・グラフィックカードの再装着
  • CMOS電池の劣化チェック(時計がリセットされるなど)

これらは修理業者も最初に確認する基本項目です。

日本国内での電源ユニット交換費用の目安

おおよその価格帯(パーツ+作業費込み):

出力部品代(税込)作業費込み合計
500W4,000~6,000円7,000~9,000円
600W以上6,000~9,000円9,000~13,000円

作業工賃は3,000~4,000円前後が相場です。

故障を未然に防ぐためのポイント

  • PSE認証や80Plus認証のある電源を使用する
  • 6ヶ月ごとの内部清掃でホコリを除去
  • 雷対策としてサージプロテクタを使用
  • 不在時・落雷時にはコンセントを抜く

これだけで電源系トラブルの大部分を防止可能です。

似た症状に要注意:見落としがちな原因

  • ファンは動くが画面が出ない:メモリやGPUの不具合の可能性
  • 電源を入れるとすぐ落ちる:ショートや過熱の可能性
  • 日付や時間が初期化される:CMOS電池切れ
  • ビープ音が鳴る:BIOSのエラーコード(多くはメモリエラー)

こうしたケースと混同しないよう、チェックリストを作っておくと便利です。

夏場に注意すべきこと:温度と湿度の影響

高温多湿の夏は、電源ユニットやマザーボードにとって最も過酷な時期です:

  • ケース内部の風通しを確保
  • ファンの埃や詰まりを定期清掃
  • CPU温度が高い場合はグリスを塗り直す

雷が多い地域ではサージ保護付き電源タップが必須です。

まとめ:焦らず診断すれば無駄な出費を防げる

パソコンの電源が入らないからといって、すぐに修理や買い替えを考えるのは早計です。本記事で紹介したような基本的なチェックを行えば、かなりの確率で原因を突き止められます。プロに相談する場合でも、事前に自分で確認した内容を伝えれば、時間も費用も節約できます。