エアバッグ警告灯の点灯は「危険のサイン」です
運転中にエアバッグの警告灯(SRSランプ)が点灯した経験はありませんか?「走行には支障がないし、いずれ消えるだろう」と軽く考える方も多いですが、これは極めて危険な兆候です。エアバッグ警告灯の点灯は、安全装置の一部に何らかの異常が発生していることを示しています。
事故時に作動するはずのエアバッグが、この状態では正しく作動しない可能性があります。本記事では、日本国内でよく見られるエアバッグ警告灯の点灯原因と対処法、整備にかかる費用感まで、運転者が知っておくべき情報を網羅的に解説します。
エアバッグ警告灯はどのようなときに点灯するのか?
エンジンをかけた直後、警告灯が数秒間点灯して自動で消えるのが正常動作です。しかし、以下のような場合には警告灯が点いたままになることがあります。
- エンジン始動後も警告灯が消えない
- 走行中に突然点灯する
- 点いたり消えたりを繰り返す
このような症状がある場合、車載コンピューター(ECU)はセンサーや配線、エアバッグ本体の異常を検知している可能性があります。単なる電子的なエラーと思われがちですが、部品の劣化や接触不良などの物理的な故障も多く見られます。
日本で多いエアバッグ警告灯の点灯原因とは?
国内で報告の多い原因は以下の通りです。
- 助手席下のコネクター接触不良
- 側面エアバッグの故障
- 衝突センサーの異常
- バッテリー電圧の不安定化
- ECUのソフトウェアエラー
特に助手席シートの下に物を置いたり、シート位置を頻繁に調整したりすることでコネクターが緩み、接触不良が起きるケースが多発しています。バッテリー交換直後にもエラーが表示されることがありますが、これはシステムのリセットが適切に行われていない場合です。
警告灯が点いたままでも運転して大丈夫?
走行自体は可能なため、警告灯の点灯を軽視する方も少なくありません。しかし、そのまま事故が起きた場合、エアバッグが作動しない可能性が極めて高く、乗員の命に関わる危険な状態となります。
また、SRSシステムは他の電子制御装置と連動しているため、放置すると他の安全装置(シートベルトプリテンショナーやABS)にまで影響が及ぶ恐れがあります。
自分でできる初期確認ポイント
整備工場に持ち込む前に、以下の確認を行うことで原因の手がかりを掴むことができます。
- エンジンを一度切って再始動し、警告灯の変化を見る
- 助手席下の配線やコネクターの緩みをチェック
- バッテリー電圧の低下や交換時期を確認
- 最近、段差で大きく揺れた、あるいはぶつけた記憶があるか思い出す
コネクターの差し直しで警告灯が消えることもありますが、ECUにはエラー履歴が残っているため、整備による診断は必須です。
日本の整備工場ではどのように対応するのか?
ディーラーや認定整備工場では、以下の流れで診断と整備が行われます。
- OBD-II診断機でSRS関連のエラーコードを読み取る
- 該当するセンサーや部品を点検
- 必要に応じてコネクター清掃や部品交換
- システムの初期化とエラーコードのリセット
- 試走行による最終チェック
作業内容にもよりますが、簡単な診断とエラークリアなら5,000〜10,000円前後で済むこともあります。一方、エアバッグ本体やECU交換が必要な場合は、50,000〜100,000円以上かかるケースもあります。
季節によって警告灯が点灯しやすくなる?
日本のように四季がはっきりしている地域では、気温や湿度の影響で電子部品の接触不良が起こりやすくなります。
- 冬季:低温により配線が硬化し、接触不良が増加
- 夏季:高温多湿でコネクター内部に結露が発生しやすい
特にエアコン使用後の車内結露や、梅雨時期の湿気は警告灯トラブルの一因となります。
新車と中古車で原因や対処法は違う?
新車では製造時の不具合や初期ロットのソフトエラーが多く、メーカー保証で無償修理となる場合があります。一方、中古車では過去の事故歴や修理歴に伴う配線不具合が原因となることが多く、基本的に有償修理です。
中古車購入時には、SRSシステムの点検記録やリコール対応履歴の確認を必ず行いましょう。
エアバッグ不具合によるリコール事例も多数
過去には、タカタ製エアバッグの欠陥問題で日本国内でも大規模なリコールが実施されました。国土交通省の発表によると、2024年現在でも数万台以上の車両がリコール対象となっています。
車両がリコール対象かどうかは、国土交通省のリコール情報検索サイトまたはメーカーの公式サイトで車台番号から確認可能です。
エアバッグ警告灯を未然に防ぐためのポイント
以下の習慣を意識することで、トラブルを未然に防げます。
- 車検や定期点検の際にSRS関連の診断を依頼する
- 助手席下の配線部分に荷物を置かない
- バッテリー交換後は診断リセットも確認する
- 事故や衝撃のあとには必ず整備を受ける
エアバッグシステムは自分で修理・分解してはいけません。必ず資格を持った整備士に相談しましょう。
警告灯が一時的に消えた場合でも安心できない理由
一時的に消灯したとしても、ECUには過去のエラー情報が保存されているため、根本的な問題が解決されていないことがあります。
- 一度点灯した後に自然に消えた
- バッテリー交換後に消灯したが、以前は点いていた
- 過去に衝突してエアバッグが開かなかった
このような場合でも、専門的な診断を受けることが重要です。
まとめ:エアバッグ警告灯は命を守るサインです
症状 | 原因の可能性 | 対処法 |
---|---|---|
始動後に警告灯が点きっぱなし | センサー異常またはECU不具合 | OBD診断機によるエラー確認 |
走行中に突然点灯 | コネクターの接触不良 | 助手席下の配線を点検 |
バッテリー交換後に点灯 | システムリセット忘れ | 整備工場で再設定 |
断続的な点灯 | 振動による一時的接触不良 | 定期点検で状態確認 |
エアバッグ警告灯は「様子見厳禁」。早期対処が鍵です
エアバッグの警告灯は、車両が発する「最後の安全サイン」です。無視すれば、自分や同乗者の命を危険にさらす可能性があるという意識を持ちましょう。
「点いたけど、走れるから大丈夫」と考えず、確実に点検を受けることが最善の選択です。数千円で済む簡易診断から始められるため、少しでも不安を感じたらすぐに整備工場に相談しましょう。
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、すべてのケースに当てはまるとは限りません。車両ごとの状態により異なるため、具体的な整備判断は必ず専門家にご相談ください。